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日欧ビジネス · 代表 ジョーダン・フロリアン

日本の「はい」とフランスの「Non」

日欧の商談が壊れる瞬間には、パターンがあります。10年間、両方の側に座ってきた者としての覚え書き。

商談が終わる。フランス側は上機嫌です。「全部『はい』と言ってもらえた。あとは契約書だ」。日本側は静かに疲れています。「先方は、こちらの説明を聞いていただろうか」。どちらも誠実で、どちらも正しく振る舞ったのに、両者はまったく別の会議に出席していたのです。私は通訳として、助言者として、この場面に何度も立ち会ってきました。

有名な誤解から始めましょう。日本語の「はい」は、同意ではなく「聞いています」の合図であることが多い。これはよく知られるようになりました。しかし、より深い誤解は意思決定の場所にあります。フランスの会議は「決める場」です。その場で議論し、反論し、結論を出す。日本の会議は多くの場合「確認の場」であり、本当の決定は会議の前後、根回しの中で行われます。会議室で即決を迫るフランス人は、日本側から見れば「手続きを無視する人」に映ります。

沈黙と議論、それぞれの意味

逆方向の誤解もあります。フランスのビジネス文化では、相手の提案に異を唱えることは、真剣に検討している証です。議論こそ敬意の表現。ところが日本側には、上司の前で部下の面前で反論される経験は、しばしば侮辱と受け取られます。一方、日本側の沈黙――検討している時間――は、フランス側には「反応がない=関心がない」と映り、不安になった彼らはさらに喋り、時に不要な譲歩まで口にしてしまう。

処方箋は、複雑ではありません。資料は会議の2週間前に送ること(社内プロセスに時間を与えるため)。初回と同じ議題が繰り返される2回目の会議を「停滞」と呼ばないこと(それは前進です)。沈黙を最後まで待つこと。そして、目の前の相手を説得するのではなく、その人が社内で説明しやすい材料を渡すこと。あなたの本当の交渉相手は、会議室にいない人たちなのですから。

日欧の溝は、一度だけ、きちんとコストを払って渡れば済む溝です。渡り方を知る者が隣にいれば、その一度はずっと安くなります。そして渡った先にある信頼は、両文化とも、驚くほど長持ちします。

筆者:ジョーダン・フロリアン(KYOFLOW合同会社 代表)。ホテル・旅館の収益改善、観光地域づくり、日欧ビジネスの実務についてのご相談は、お問い合わせページからどうぞ。

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